「和寒今昔物語」

和寒今昔物語」(藤田明郎)p.88

 一人で砂金を取る場合は、土砂、岩石の混じったものを金ザルで洗う。この場合水の流れを早くするか、滝の様に落す状態が良く、砂金の混じった砂やクローム等は金ザルの目から落ちて下に溜まる。これを滝壺と云う。
 滝壺に多くの砂金の混じった土砂が溜まる頃は、山師達の仕事のいわば「やま」も越える頃なのである。中には他人の滝壺を盗みに行く者もあり、滝壺には絶対近寄らないのが山師達の仁義であった。

“滝壺”というのは初めて聞くけど、この後で樋にかけて揺り板を使うそうだから、流し掘りで行う現場から石抜きをする工程に相当するのだろう。
ペオッペ川流域の砂白金・砂金取りについて語られているが、現在のペオッペ川周辺ってあまり砂金掘りをし易そうな場所ではなかった印象がある。平地をゆったりと流れる川が多く、しかも用水路化して降りにくい・・・そんな感じだったかと。