『静かな大地』

『静かな大地』(池澤夏樹)
http://dosanko-camera.hatenablog.com/entry/2017/09/05/114000

淡路島から北海道へ入植した一族の、明治4年から昭和13年までの67年間。それを、語り部を変えながら物語は進みます。
それは時に父の昔話であり、母の回想であり、弟への手紙であり、妻の随筆であり、ただの漁夫の話でもあります。
北海道の歴史やアイヌについて少し学んだ人なら、これらの語り手の話が、ばらばらな事を話しているようで、実は北海道の歴史を包括的に掴んでいることがわかると思います。開拓初期から昭和にかけての、北海道の歴史が上手く物語と繋がっている。
開拓、農学校、砂金にニシン漁。自分の知っているワードが次々にパズルのように繋がり、物語になっていく。そういう気持ちよさがこの小説にはあります。

この本は、北海道で開拓をしていた池澤さんの曾祖父をモデルにして書かれています。池澤さんは物語の舞台である静内に実際に行って調査と聞き取りをしています。

小説とはいえ日高地方の砂金掘り描写があるのかもしれない。機会があったら読んでみよう。