井川のゴールドラッシュ

井川のゴールドラッシュ
http://cyber.tokaigakuen-u.ac.jp/cosmos/indus/industry/ooi.htm

ところで、井川の人口の動向についてみる前に、私達はその前史ともいうべき、昭和の初期から太平洋戦争時にかけての〝ゴルドラッシュ〟に触れておかねばならない。
 大井川右岸最上流部の部落である大河内から7キロの地点に金山があり、太平洋戦争中国策として金の採掘が行なわれ、終戦時の採掘権者は金沢工業?であったというわる。採掘に必要な物資は、静岡から井川までは森林組合の索道、井川本村から現場まではモチコ、強力と呼ばれる人足によって運搬された。当時ここに集まっていた人々は従業員380人、家族を入れると1,000人を超したといわれる。昭和11年国税調査による当時の井川村の人口が3,152人であったから、突然30%もの人口増をみたことになる。しかしこの金山も、「戦争がたけなわになるにつれ、『金は占領地からいくらでも賄えるので、それよりも、すぐ兵器の材料になる鉄の方が重要である』ということで、すべての機械は戦争に徴発された(4)」ため、約10年間続いたゴールド・ラッシュも終わりを告げることとなった。資料「'80井川」によれば、終戦時昭和20年の井川村の人口は2,824人であったから、村民の35%に相当する人工が突如村から消えたことになる。しかし、その人たちのゆくえは定かではない。

(4) 近田文弘『南アルプスの自然と人』南アルプス研究会、昭和57年。ゴールド・ラッシュについての記述はすべて本書によっているが、この部分は、 中部電力(株)静岡市店の北村常夫氏が、本書のために特別に寄稿されたものだとされている。同書212ページ参照。

南アルプスの自然と人」が古書店に無いかな〜?と思って探してみたけど簡単には見つからないようだ。