その後の問寒別

その後昭和9年・・・
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演習林中の有名な十六線沢に着いた。ここがイリドスミン株式会社の経営する鉱区中、最も豊富な鉱物を包蔵する地点である、この外に二十線沢というこれも相当の成績をあげている採掘所がある。
ここには堂々たる事務所兼(五間に十間)飯場が設置されて、附近の沢には、眼界の及ぶ処だけでも、数十人の従業員が、清冽な玉のような沢の浅い水に浸りながら熱心に採掘の工作をやっている。
『あなたも一つ遣ってみませんか』と、姫野氏に言わるるままにスコップを取って、沢の砂礫の中を小一時間も掘り洗うと、驚くべし約五分に近い完全なるイリドスミンを採取することができた。