愛媛の鉱脈型金山

気にはなっていたけど、結構遠回りかな〜?と思って行かなかった金山。
http://www.shikoku.ne.jp/mineral/ehime-19.htm

 さて、西南日本の外帯には、花崗岩と接するホルンフェルスが各所に見られ、地層の割れ目に貫入した熱水鉱床、とくに石英脈には金銀をはじめアンチモンや銅などの金属鉱脈が数多く胚胎している。鹿児島から大分にかけては特に金銀の貴金属鉱床がよく知られ、今も稼行中の菱刈鉱山をはじめ鯛生金山や赤石、串木野金山など枚挙に暇がない。ところが、四国になると同じ外帯とは言え、純粋の鉱脈型金山として存在するのは荘和鉱山と稲ヶ窪鉱床(程内鉱山)が挙げられるにすぎない。もちろん、古生層のキースラガー鉱床(野村鉱山や東向鉱山など)や大規模な三波川帯キースラガー鉱床(別子鉱山や白滝鉱山など)も金銀を含有することはよく知られているが、ここでは純粋の鉱脈型金山に限定して話を進めることにしよう。
 「荘和鉱山」は御荘町北部の山の斜面に開坑されていた。“荘和”の名前はおそらく御荘の“荘”と和口の“和”を組み合わせたものだろう。昭和27年に初めて鉱区が設定され、昭和35年に同町の上野慎一氏が探鉱を行うも良好な結果が得られず出鉱を見ないまま休山となった。したがって「四国鉱山誌」や「日本鉱業誌」にも記載はない。当時の本坑坑内地質図(下図 参照)を見ても、坑道はたかだか15m四方しかないのでズリの量も極めて少なく、これが名うてのY氏でさえ跡地を発見できなかった最大の理由かもしれない。「日本地方鉱床誌 四国地方」や宮久三千年先生の「愛媛県の金銀鉱資源」によると、この付近の地質区分は四万十帯に属し、砂岩、泥岩が深部の花崗岩体によって熱変成を受けた緻密なホルンフェルスを形成し、鉱脈はそれがさらに珪化して灰白色となった母岩中にある石英電気石細脈である。金銀に富む鉱脈には、硫砒鉄鉱、黄鉄鉱、磁硫鉄鉱、鉛アンチモンなども凝集し、このあたりの金品位は、最高40g/ton に及ぶという。一方、銀に至っては、ほとんど含まれず、宮久先生の採集したサンプルに 5.7 g/ton 程度が見いだされたにすぎない。いずれにせよ、鉱脈の規模が稼行に耐えうるほどの発展を認めなかったためそのまま放棄されたものと推察される。
 「稲ヶ窪鉱山」は北宇和郡津島町にあって荘和鉱山の北方に位置する。出願者の姓を取って“程内鉱山”とも称したが、鉱床は林道の切り通しに見いだされた一条の鉱脈に過ぎず、具体的な開発はまったく行われずに放置された。地質的には荘和鉱山と同じホルンフェルスの石英脈で、硫砒鉄鉱や黄鉄鉱、スコロド石等が凝集しているのが認められている。しかし驚きは佐賀関製錬所での分析結果である。なんと、金 500g/ton 、銀 6000 g/ton が含まれていると言うのだ。これは全国の金山でも特に高品位鉱のエレクトラムに匹敵する驚くべき含有率で、もちろん四国では“ダントツ”群を抜いている。

“四万十帯の砂岩・泥岩に第三紀花崗岩が貫入して形成された高品位の鉱脈型金鉱床”・・・と、言う意味では地域こそ違え山梨の金鉱山と同じような印象を受ける。
https://gbank.gsj.jp/seamless/maps.html?select=gAAAAAAAAAAABAAAAAAAP______AQgAEYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA&appendix=num&type=basic&opacity=0.36&marker=33.0008896789019,132.56704330444336&latlng=33.00469728162031,132.54928588867188&zoom=13
(マーカー位置は鉱山を示していません)
しかし、現地に行かなかったのはともかくとして「愛媛県の金銀鉱資源」と市町村史の記述は調べてくれば良かったな〜